炭火で焼いた鰻は、ガス焼きのものと異なり、皮はパリッと、身はふっくら。
炭が良質ならなお一層、旨みが凝縮されて美味しく仕上がります。
鰻の炭火焼にはどんな炭が適しているかについて、明治創業の炭問屋がおすすめをご紹介します。
うなぎ料理は「串打ち三年、割き八年、焼き一生」という言葉で表現されるほど「焼く」工程に熟練の技を要するとされています。
焼きひとつでうなぎ料理の味わいはまったく違ったものとなることから、炭選びはうなぎ料理で特に重要です。
職人の思い通りにうちわ一本で火力をコントロールできる炭を選ぶことがポイントです。
炭の2大種別 「黒炭(くろずみ)」と「白炭・備長炭(しろずみ・びんちょうたん)」では「白炭・備長炭」が適しています。
「白炭・備長炭」の中でも広いうなぎ用の焼き台をカバーするため、太め・大きめのサイズがおすすめです。
「白炭・備長炭」と「黒炭」について詳しくはこちら。
「白炭・備長炭」はカシなどの硬い木を1000度以上の高温で焼き上げられて作られており、炭全体が金属のように燃焼し、うちわであおげば強火、あおがなければ弱火といった具合に火力調整が自在にできるのが特徴です。
例えば、はじめは強火で表面を焼き旨みを閉じ込めるように火を入れたのち、じっくり弱火で中に火を通していく、といった具合に、お店のスタイルに合わせて火力をコントロールすることができます。
炎が上がると、身は固く、焦げ臭くなり、せっかくの炭火焼きが台無しになってしまいます。
上質な白炭・備長炭は、タレや脂が落ちても炎が上がりづらいです。
食材本来の香りを引き立てつつ、炭の上に落ちた脂はミスト化(気化)して鰻にまとわりつくことで炭火のこうばしい香りとなり、より一層食欲をそそるものとなります。
火床とも呼ばれるうなぎの焼き台は奥行きが30cm以上のものが多いです。
広い焼き面にムラなく火力を伝え、火力を長時間安定させるため、炭は太めが好まれます。
BBQや炉端焼きなどで使われる「黒炭」は柔らかく、断面に隙間があって空気が通りやすいので、火付きが良く、火力も強いです。
その分炎が上がることも多く、強弱のコントロールが難しいです。
火力のピーク時間も短いためうなぎ料理ではあまり好まれません。
また炎があがるゆえに力強い香ばしさがあり、うなぎ料理には好まれないことが多いです。
炭としての純度が低い安価なBBQ木炭のような炭(マングローブ炭など)はおすすめできません。
よく焼けた炭は炭素の純度が高く、いやな臭いや煙がありません。
素材本来の香りを引き立てるように焼きあがるため、冷めてもほんのりと良い炭火焼きの香りが残ります。
炭としての純度が低いもの(言い換えれば良く焼けていない炭)には、そのようないやな臭いや煙があります。
見分けるポイント
炭の表面が赤黒いものは避ける。
また、白炭・備長炭であるにもかかわらず持った時にずっしりとした重みを感じないものは避けた方が良いです。
1本1本の炭が細い場合、空気と触れる表面積が大きくなります。
酸素により燃焼が早まり火力が強くなりやすく、炭もあっという間に燃え切ってしまいます。
常に炭を足す必要があり、焼き台の火力が安定しないため、おすすめできません。
日本3大備長炭の中でも生産量が増えており、価格と品質のバランスがとても良いです。
ラオス備長炭に比べて高価ですが、燃焼時間の長さや火力、焼き上がりの良さ(香りや旨み)が特徴的です。
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国産の備長炭と比較すると、燃焼時間はやや短く灰の量も多くなりますが、お求め安い価格です。
他の海外産備長炭(ベトナム産備長炭など)に比べ上質なため、多くの鰻屋さんで使用されています。
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国産おが炭の最高峰。天然木の備長炭にも匹敵する良質な焼き上がりで、かつ品質が常に安定しています。
燃焼時間も長く、灰の量はラオス備長炭よりも少ないため、ラオス備長炭よりこちらを好む職人も多いです。
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上記を参考に、炭の火力と焼き上がりの美味しさ、炭の燃焼時間とお店の営業時間、炭のコストなどについて検討しながら、お店にあった炭を選んでみてください。
朝内燃料では、100種類以上にも及ぶ炭それぞれの個性と持ち味を理解し、見極めながら、料理に適した炭、「料炭」をご提案します。
富山県小規模企業者緊急支援補助金活用事業(令和3年11月9日作成)