炭は、製炭方法の違いで「白炭(しろずみ)」と「黒炭(くろずみ)」に分けられます。
炭化の最終工程、「白炭」は窯の口を開け空気を送り込んで燃焼を促進し、炭の不純物を焼き切る「ねらし」と呼ばれる精錬工程ののち、炭を窯の外に出し、砂と灰をかぶせて消火します。
できあがった炭の表面が白っぽくなることから「白炭」と呼ばれ、とても硬いのが特徴です。
白炭(しろずみ)のうち、特に原料となる木の種類がウバメガシ(カシ類を含む)のものを「備長炭(びんちょうたん)」と呼ぶのが、厳密な備長炭の意味です。
つまり製法+樹種を限定したものを備長炭と呼びます。
実際には木の種類に関係なく硬い炭の総称として「備長炭」と呼ぶのが一般化しています。
「備長炭は硬い」がいつのまにか「硬い炭は備長炭」として定着しました。
ウバメガシ(カシ類を含む)が自生していない海外でも、現地で手に入る硬い木を原料として焼かれた炭を「備長炭」としており、「インドネシア備長炭」や「ラオス備長炭」と呼ばれ流通しています。
おが粉を固めたオガライトを窯で高温で焼き上げた炭も、とても硬く、燃焼時間が長い特徴が「備長炭」に似ていることから、「オガ備長炭」などと呼ばれたりしています。
備長炭は、硬く、火持ちが良く、火力調整も自在です。
原料となる木材を炭窯でじっくり炭化させ、仕上げに窯の中に空気を送り込み1000度以上で燃やす「ねらし」の後、灰と砂をまぜた「素灰」をかけ急速に消火してつくられます。
白炭は金属のように硬いため、着火には時間がかかり、急激に熱すると爆ぜますが、ひとたび安定すると火力が長時間続き、うちわ一本で火力調整も自在で、繊細な火力調整が必要なお料理に適しています。
またおが炭のうち高温で焼かれたものは「○○備長炭」や「オガ備長炭」と呼ばれており、硬くて燃焼時間が長い特徴は、厳密ではない意味の「備長炭」に通じるものがあります。
黒炭(くろずみ)は400度から800度の比較的低温でつくられ、最終工程で炭窯の口を閉じ、酸素を遮断することで窒息消火されます。
備長炭・白炭と比べると軽く、断面に隙間もあり火がつきやすいです。
燃焼は火のついている部分から、ついていない部分に徐々に燃え広がっていきます。
燃焼温度はピーク時の温度は備長炭・白炭より高いですが、燃え尽きてしまうのも早いです。
原材料 | クヌギ、ナラ、カシ、マツ 他 | ウバメガシ、カシ、マイティウ 他 | スギ、マツ、タケ 他 |
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特徴 |
木炭が木でできた炭全体の総称であるのに対し、備長炭はその中の1種類を指す名前です。ですので、備長炭は紛れもなく木炭の1つです。
例えて言うなら、
「車」と一口にいっても「セダン」や「ワゴン」があるようなものです。
どれも「車」ですが、細かく仲間分けするときには「セダン」や「ワゴン」と呼ばれています。
おが備長炭はおが粉を元に作られた炭である「おが炭」のうち高温で焼かれ、備長炭のように硬く、燃焼時間が長いものに使われる名称です。
「おが炭」だけど、特徴が備長炭に似ているので、その特徴を伝えるために「おが備長炭」としているというのが実際のところです。「おが炭の備長炭仕上げ」といったところでしょうか。
おが炭メーカーも自社の商品に「ニシキ備長炭」や「山頭火備長炭」といったように「○○備長炭」の名称を使っているところがいくつもあります。
上記を参考に、炭の火力と焼き上がりの美味しさ、炭の燃焼時間とお店の営業時間、炭のコストなどについて検討しながら、お店にあった炭を選んでみてください。
朝内燃料では、100種類以上にも及ぶ炭それぞれの個性と持ち味を理解し、見極めながら、料理に適した炭、「料炭」をご提案します。