『炭といえば備長炭』
炭の種類は「黒炭、白炭・備長炭、おが炭」の大きく3種類に分けられ、製造方法や原料となる木の種類から、それぞれに異なる特徴があります。
今回は「備長炭」について、その特徴や種類、用途を詳しく解説します。
備長炭とは「白炭(しろずみ)のうちウバメガシ(カシ類を含む)を炭化したもの」です。
炭は製炭方法の違いから「白炭(しろずみ)」と「黒炭(くろずみ)」の2つに分けられます。
白炭は、原料となる木材を炭窯でじっくり炭化させ、仕上げに窯の中に空気を送り込み1000度以上で一気に燃やす「ねらし」の後、最終工程で、灰と砂をまぜた「素灰」をかけ急速に消火してつくられます。
できあがった炭は、素灰によって表面が白っぽくなっており、その見た目から「白炭」と呼ばれます。ねらしの工程によってとても硬く焼き締まっているのが特徴です。
白炭の中でも、特に原料となる木の種類がウバメガシ(カシ類を含む)のものを「備長炭」と呼ぶのが、本来の厳密な備長炭です。
近年では、木の種類に関係なく、硬く、よく焼きあがった炭を総称して「備長炭」と呼ぶのが一般化しており、カシ以外の木材を使用した白炭も備長炭と呼ぶようになりました。
備長炭・白炭は「ねらし」という工程を経ることで、ギュッと硬く焼きしまり、叩くとまるで金属のような高い音が響き、断面はキラキラと輝いています。
硬い分、ひとたびが安定すれば一定の火力が長時間続きます。
うちわ一本で火力調整も約500~1000℃まで自在で、繊細な火力調整が必要なお料理に適しています。
硬く焼きしまった備長炭はしっかりと精錬された良い炭の証でもありますが、急激に加熱すると、炭の内部に閉じ込められた微細な空気や水分が膨張して弾け飛び、硬い炭のカケラが飛んでくることがあり、危険を伴います。
「爆ぜない備長炭はありませんか?」というご質問をいただきますが、備長炭は天然木を焼いて炭化させているため、「絶対に爆ぜない」と断言できるものはありません。
とはいえ、一般に流通するもののうちラオス産やベトナム産のものは、備長炭の中では比較的柔らかく、爆ぜが少ないといえます。
ただし、爆ぜにくいということは炭の硬度が落ちるということでもあり、国産の備長炭に比べて『火持ちが短い/火力が落ちる/灰の量が多い』という要素もありますのでご留意ください。
備長炭を爆ぜにくくするポイントは、炭自体を少しずつあたためながら徐々に火をうつしていくことです。
まずは弱火であたためることで内部の水蒸気を飛ばします。
その後徐々に火力を増して全体に着火してください。
また、炭に木の節や割れ目があるものは爆ぜやすいものが多いです。
そういった部分は避け、炭表面が滑らかな部分に火が接するように炭を組むのもポイントです。
炭は常に呼吸しているため、湿気の多い場所での保管は爆ぜの原因にもなりますので避けてください。
周囲の安全に十分に配慮してご利用いただきますようお願いいたします。
ちなみに、、、黒炭(くろずみ)とは
400度から800度の比較的低温でつくられ、最終工程で炭窯の口を閉じ、酸素を遮断することで窒息消火されます。
備長炭・白炭と比べると軽く、断面に隙間もあり火がつきやすいです。
燃焼は火のついている部分から、ついていない部分に徐々に燃え広がっていきます。
燃焼温度はピーク時の温度は備長炭・白炭より高いですが、燃え尽きてしまうのも早いです。
和歌山県で製炭される備長炭の頂点です。
職人がウバメガシを原料に1000度以上の高温で不純物が無くなるまで焼き上げるため、非常に硬く締まっており、安定した火力が長時間続きます。
「同じ食材を焼いているとは思えない」と言われるほど食材の旨さを引き立てることから、全国の料理人垂涎の逸品となっています。
メリット
・「紀州備長炭使用」の文言がお客様に特別感を提供できる
・食材の風味を引き立てる
デメリット
・供給量が減っており、値段が高価
日本3大備長炭の一つ。
高知県を中心に製炭される備長炭で原料にはウバメガシ・カシを使用しています。
品質が良く、若手育成に力を入れたことから生産量も増え、価格も紀州備長炭に比べお手頃な値段です。
生産者が増えたことで、競争がうまれ品質も向上し、紀州備長炭より高品質と評される備長炭もあります。
外国産に比べ、手にしてわかるほどずっしりと重く引き締まり、火力が長時間続きます。
国産ならではの高品質で、比較的お求め易い価格が好評で当店でも一番人気の国産備長炭となっています。
メリット
・高品質かつ紀州備長炭に比べ求めやすい価格帯でコストパフォーマンスが高い
・「土佐備長炭」の知名度も年々上がってきており、お客様に日本3大備長炭の安心感を提供できる
デメリット
・職人によって技量に差があり、良い職人を探すのが難しい
朝内燃料では、100種類以上にも及ぶ炭それぞれの個性と持ち味を理解し、見極めながら、料理に適した炭、「料炭」をご提案します。「良い炭選び」は、ぜひ朝内燃料にご相談ください。
宮崎県で製炭される備長炭。
商品名としては「日向備長炭」「うなま備長炭」「宮崎備長炭」などがあります。
メリット
・日本3大備長炭の中では柔らかく、着火しやすい
デメリット
・認知度が低く、お客様にアピールしづらい
・国産備長炭の中では燃焼時間が短い
中国産に代わる海外産備長炭として広く利用されているラオスの備長炭。
現地の「マイティウ」を原料に製炭されています。
メリット
・国産に比べ安価であり、柔らかめなので火がつきやすい
・国産に比べ弾けることが少ない
デメリット
・国産に比べ燃焼時間が短い
・白い灰が多く出る
・国産の備長炭特有の繊細な香りが感じられにくい
ラオスと国境を接するベトナムでつくられる備長炭。
メリット
・海外産の備長炭の中では最も安価な部類に入る。柔らかいので弾けにくい
デメリット
・密度がないため燃え尽きるのが最も早い
「備長炭」と「おが備長炭」は何が違うのか、というお問合せを受けることが多々あります。
おが炭とは、おが粉を、高温・高圧でプレスし棒状にした「オガライト」を窯で焼き上げた炭です。
もちろん接着剤などは無添加、弾け飛ぶこともないから安心。
おが炭の中でも、特に高温で製炭されたおが炭は「白炭仕上げ」と呼ばれますが、白炭仕上げのおが炭は硬く焼きしまっており、燃焼時間も長いという特徴が備長炭に似ていることから、そういった白炭の特徴をもつおが炭を「おが備長炭」という場合があります。
「おが備長炭」とは、おが炭の中でも特に「硬くて長持ちする炭」であることをアピールするために用いられている名称です。
狭い意味での天然木の「備長炭」ではありませんが、木の種類に関係なく硬い炭の総称として「備長炭」と言われることが一般化している現状では、特徴を伝える良いネーミンングとなっています。
国産のハイグレードおが炭は、国産備長炭に次ぐ品質を誇ります。
経済性も良く、多くの炭火焼店で採用されています。
国産おが炭最高峰。
「素材の風味が活きる」と定評あり。(白炭仕上げ)
メリット
・極めて高品質で炭素純度が高く、食材の風味を引き立てることから高級割烹でも利用されている
・高品質で定評があるが、製材工場から出るおが粉を原料としているため、安価。キロ単価は「ラオス備長炭」と同程度である
デメリット
・人工的に感じられる形状
おすすめ商品
日本のおが炭メーカーの技術をマレーシアに移転することで実現した高品質おが炭(白炭仕上げ)
メリット
・国産を目指した超高品質モデル。国産おが炭に比べて安価
デメリット
・国産おが炭に比べると灰の量がやや多い
・人工的に感じられる形状
おすすめ商品
朝内燃料の「平安備長炭シリーズ」で最も売れ筋。
メリット
・数多くの海外製炭工場から選び抜いた納得品質。最もお求め安い価格帯
・灰も少なく長時間燃焼のためコストパフォーマンスが高い
デメリット
・「平安備長炭 青」に比べ灰が多い
・人工的に感じられる形状
おすすめ商品
上記を参考に、炭の火力と焼き上がりの美味しさ、炭の燃焼時間とお店の営業時間、炭のコストなどについて検討しながら、お店にあった炭を選んでみてください。
朝内燃料では、100種類以上にも及ぶ炭それぞれの個性と持ち味を理解し、見極めながら、料理に適した炭、「料炭」をご提案します。
富山県小規模企業者緊急支援補助金活用事業(令和3年11月9日作成)